父との暮らしを決めるまで②ー父のこと
娘で一人っ子。
良くも悪くも、どうしたって母娘のつながりが強い。
さらに父は昭和の男。黙して語らず、なのです。
だから父と話したことはあんまりない。
小さい頃に一度、叱られて雪が降り始めた頃、一人で家を飛び出した時、走って追いかけてきて肩に担がれ、お尻をペチン!と一度叩かれた。その思い出は鮮明。
すごく叱られたのは記憶の中ではその一度だけ。
小さい頃は土曜日曜が仕事で遊んだ記憶もあまりないけれど、飼いたいという動物はだめ、と言われることはなかった。
縁日のひよこ、金魚、うさぎ、文鳥、セキセイインコ。犬は元々いて、猫もいつの間にかいた。多分、猫も飼っていい?と言ったのは私なんだろうな。ひよこはもちろん大きくなり、鶏小屋を作ってくれた。うさぎの小屋も作ってくれた。セキセイインコはどんどん増えた。が、結局その世話は父。生き物が好きだったんだと思う。一度でも世話をしないことを責められたことはなかった。それどころか、父は熱帯魚、鈴虫など飼い始め、鈴虫は大量に繁殖した。鈴虫が大量に生まれたのを見て、私が恐怖し、鈴虫は全て人にあげたり、逃がしたりした。
こうしたいんだけど、ということに反対されたことは、ほとんどなかったけど、大学がバス、電車、地下鉄、と合わせて2時間ぐらいかかるから一人暮らしをしたいと言った時だけは反対された。
とっても甘く、静かに愛されてきたんだと思う。
叱るのは母に任せていたんだろうな。きっと、母は父にいい顔ばっかりして、って思ってたろうな。今ならわかる。
母が亡くなり、父と話すことが増えた。
こんなに父は話す人だったんだ。もっと父と話さなきゃ。もっと聞いておかなきゃ。
そんな思いがどんどんと重なっていきました。